高雄・新興区 六合夜市についての記録
美麗島駅を出ると、夕方の六合夜市は車道から歩行者天国へ姿を変える。夜市らしい混雑を予想して歩き始めても、通りには家族連れや車椅子が無理なく進める余白が残っている。
世界の中心ではなく、
その少し外側で見つけた記録。
美麗島駅を出ると、夕方の六合夜市は車道から歩行者天国へ姿を変える。夜市らしい混雑を予想して歩き始めても、通りには家族連れや車椅子が無理なく進める余白が残っている。
顔を上げればツインタワー、視線を下ろせば油とスパイスの匂いが立つ半屋外の食堂。観光地の光のすぐ下で、指差しだけの注文と甘いテ・タリを囲む夜が続いている。
夜の豆花屋で、紅豆やタピオカ、芋園を添えた温かい豆花を受け取る。甘さと食感が揃った器の上には、まだ塩気と脂肪の入り込む余地が残っている。
KLIAエクスプレスの冷えた車内を出て、KLセントラル駅直結のモール地下へ降りると、空気が金属と冷気から焦げたスパイスと油の匂いへ変わる。そこには、地元では「高くて普通」と言われるナシカンダーの店が、到着客の動線上に開いている。
マレーシアの食堂では、透明なグラスに茶色い紅茶と薄い泡が残り、冷たい水の代わりのようにテ・タリが置かれている。注文すると、その飲み物は二つのカップのあいだを高い位置から行き来する。
台湾の朝の豆漿店で蒸籠を開けると、白い湯気の中から、薄皮の小籠湯包とは別物のようなフカフカの小籠包が現れる。小さな肉まんにも見えるその皮は、朝食の脇役ではなく、しっかり腹を満たす主食の顔をしている。
夕方の路地に「エリーゼのために」が流れると、袋を手にした住民が建物の前へ集まってくる。ごみを捨てるために、人が毎週決まった時間を差し出す風景は、台湾の街では珍しくない。
夜市で蚵仔煎を頼むと、牡蠣と卵を包んだ生地の上に、あのピンク色のたれがかかって出てくる。粉ものなのに、ソースもマヨネーズも卓上には置かれていない。